No.3694 通勤電車のサラリーマン
「通勤電車のサラリーマン」
憧れて、生きて。
それでもまた、何かに憧れて。
終わりなきものは目の前ではなく、
この胸の中にある。
それはまるで
着心地の悪いセーターのように、
温かくも身に合わぬ体裁は
いつも手足に纏わりついていて。
全部ほどいてしまえば
裸になってしまうから、
ただ周りだけを気にして
落ち着いて生きているふりをする。
カイシャ、シゴト、ネムイ、イソガシイ。
みんながみんな、同じ言葉を連呼して。
ガキの頃、
あんなに憧れていた電車に乗って、
疲れた君はどこへ行く?
いつかやってくる一発逆転を
いつまでも信じ続けながら、走れよ走れ。
南の島の夢を見つつも、
とりあえず、月末のサラリーをめざして。