No.3992 VAR

「VAR」ってあるじゃない。

ビデオ・アシスタント・レフリー、
サッカーの試合とかで微妙な判定を
スロー映像で確認するやつ。

今のアジアカップでも採用されているし、Jリーグでも一部導入が始まるらしい。
プロ野球でも同じような判定リクエストの
取り組みを始めている。

便利になった。
うん、文明の利器の力で
人間のミスを確認できるようになったことで
スポーツの公正さは増したかもしれない。

ただ、逆に何かが無くなった気がする。
なんだろう?

僕はアンフェアな審判は嫌いだから
映像でハッキリするのは良いことだと思っているけど、
それでも、すべての詳細が判明してしまうのも
なんだか味気ないもので。

もしも昔からビデオ判定があったなら、
サッカー界の伝説となった“神の手”は
間違いなく生まれなかったし、マラドーナが
あそこまで有名になることもなかったかもしれない。

人間が見るからこそ間違いが生まれて、
そこにいびつな何かが生まれて、
その波乱のようなイレギュラーのドキドキを
僕たちは結構楽しんでいたのかもしれないね。

平らな壁ではなく、
凸凹の壁にボールを投げて
不規則なバウンドを楽しむように。

防犯カメラやドライブレコーダー、動画を撮れるスマホ、
世の中なんでもビデオ判定できるようになってきて、
ある意味では正しくなり、またある意味では
イレギュラーな遊びがなくなりつつある。

正確と不正確、
僕らは一体どちらが幸せなのかな?
ついついどちらも欲しいと思ってしまう、
曖昧な人間の性よ。