No.3096 大人のためのサンタクロース講座2 ~もしも我が子がサンタの正体に気づいたら~

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★  How to サンタクロース 第2章★


「みなさん、こんにちは。
 本日のゲストは、8年ぶりの登場になります。
 クリスマスの伝統を教え続けて65年以上、
 散田 苦労洲さんです」



  「どうも、お久しぶりです」



「さて散田さん、
 前回ご出演いただいた時は
 サンタクロースの演じ方をレクチャーしていただきました。
 本日はどのようなことをお教えいただけるのでしょうか?」



  「はい、今日は上級者バージョンとして、
   『お子さんがサンタの正体を知ってしまった時の対応』
   についてお話ししたいと思います」



「正体を知ってしまった時、ですか?」



  「ええ。
   近年、インターネットの普及に伴い、
   サンタの正体をGoogle検索で知るなど、
   子どもたちの夢が壊れる年齢が急激に早まっていると聞きます。
   そんな時に大人はどう対応したらいいのか、ということです」



「なるほど。うちにも中学生の息子がいますが、
 彼が小4ぐらいの頃に正体がバレてしまって、
 なんだか気まずくなったことがありましたね…」


 
  「よくあるご家庭のケースですね。
   その時、息子さんには何と説明したんですか?」



「いや、説明も何も、
 一度知ってしまったものは仕方ありませんから、
 それ以降、クリスマスの話題を避けるようになりました」



  「そこなんです」



「えっ?」



  「そこが親子のターニングポイントなんですよ。
   一度夢が壊れた時に親がどう対応するかによって、
   その後の親子関係が大きく変わります。
   司会者さん、失礼ですが、もしかしたらそれ以降、
   あまり息子さんと話せなくなったのではないですか?」



「ええ…、おっしゃるとおり、
 今はまったく話してくれなくなりました」



  「我々専門家の間では、子どもがサンタの正体を知ることを
   『サンタショック』と呼んでいますが、
   最近はほとんどの家庭がサンタショックを機に
   親子関係をこじらせているらしいんですね。
   これは実に深刻な問題だと思います」



「散田さん、私はあの時、
 サンタショックに遭遇した息子に
 何と言ってやれば良かったんでしょうか…?
 『サンタはお父さんだったんだよ』と
 素直に打ち明ければ良かったんでしょうか?」



  「いえ、それではまるで
   親が黙っていたことを謝るみたいで、
   余計に子どもの反感を買うでしょう。

   よく考えてください。
   司会者さんは『嘘』をついていたわけではなく、
   息子さんに『夢』を見せていただけですよね?」



「そうです!そうなんですよ!
 子どものために努力して演じていたという、
 その気持ちを分かってほしいんですが、
 長年黙っていたことがどうしても後ろめたくて…」



  「ファンタジーのミュージカルを演じた俳優が、
   いちいち観客に謝りますか? 謝らないでしょう?

   サンタショックも同じです。
   子どものために頑張ってきた親が
   後ろめたい気持ちになる必要などありません。
   むしろ、胸を張らなくては」

 

「さ、散田さん…(涙)」



  「大人にできることはただ一つ、
   夢を終わらせず、むしろ広げてあげること。
   演じていたミュージカルを“続けてあげる”ことなんです」



「続ける…、ですか?
 でも、子どもはもう、
 サンタの正体を知っているわけですし…」



  「同じ悩みをお持ちの親御さんも多いと思いますので、
   具体的にアドバイスしましょう。
   サンタショックに遭遇したお子さんには、
   『サンタさんはお父さんだったんだよ』ではなく、
   『お父さんもサンタなんだよ』と打ち明けてください」



「え? それって結局
 正体をバラすわけですから
 結果は同じじゃないんですか?」



  「いえ、全然違います。
   前者の『サンタさんはお父さんだったんだよ』は
   サンタ=親だと限定してしまう、
   つまり、子どもが信じていたサンタの存在を
   完全否定してしまう言葉であり、夢を裏切る言葉です。
   これでは親のそれまでの行為は『嘘』になってしまい、
   ミュージカルもそこで終幕してしまいます」



「たしかに」




  「それに対して
   後者の『お父さんもサンタなんだよ』は、
   親もサンタであることは認めながらも
   サンタの存在自体は否定していません。
   それどころか、『おとうさん“も”』と説明することで
   『サンタが他にもたくさんいる』という風に
   夢を広げてあげている。つまり、
   ミュージカルの第2章の幕開けを告げているんですね」



「なるほど!
 でも散田さん、
『サンタが他にもたくさんいる』 なんて言っても、
 また嘘になりそうで…」



  「いいですか?
   もう一度言いますが、大人の皆さんが手掛けているのは
   “嘘”ではなく“夢”なんです。
   まずは親御さん自身がそう思いこまなければ
   ミュージカルの観客の心は離れていってしまいますよ。

   それに、嘘でもなんでもなく、
   実際にサンタはたくさんいるじゃないですか」




「…あ!そうか!
 私だけでなく、世の中の親御さんは
 みんなサンタさんですもんね」



  「そう。それだけではありません。
   クリスマスプレゼントというのは、
   おもちゃを作る人や、運ぶ人、売る人、
   そして親や爺ちゃん婆ちゃんなど、
   たくさんの大人の協力があって
   はじめて子どもの枕元に届けられるものなんです。
   これほどファンタジーな出来事がありますか?

   サンタは世の中にたくさん存在していて、
   みんなで助け合っている社会って夢の国なんだ、
   お父さんやお母さんもその一員なんだと
   胸を張って優しくお子さんに教えてあげてください。

   そうすれば、サンタショックを機に
   子どもの夢は終わることなく、むしろもっともっと広がり、
   両親へのリスペクトすら生まれるはずです」



「なるほど!
 社会や他の大人に対する興味も生まれて、
 『大人になりたくない』『現実社会よりネットで生きたい』
 なんていう子どもも少なくなりそうですね!」



  「優れた俳優というのは、
   舞台を下りても絶対に観客の夢を壊しません。
   プロとして演じ続けるのです。
   夢というのは空想の中ではなく
   日常の暮らしの中にもあることを、
   まずは我々大人がきちんと理解し、
   みんなで子どもたちに社会の素晴らしさを教えていきましょ
う」



「散田さん、私、今日家に帰ったら
 もう一度息子と話をしてみたいと思います。
 今日は貴重なお話を聞かせていただき、
 本当にありがとうございました!」



  「息子さんも、将来素敵なサンタさんに
   なってくれるといいですね。Merry X’mas♪」