No.864 我が家の2003年大みそか
昨年末の大晦日、
梅田の阪急の地下でお土産を買ってから、
初めて2人でうちの実家へ帰った。
親父にオカン、
姉夫婦に子どもの優太郎、
そして僕たち2人。
ずっと4人だった家族が7人になり、
狭い家がより一層狭く感じた。
「まんま、まんま、ないなぁーい!」
最近ようやく日本語を話し始めた優太郎が
デレデレの親父の膝のうえで飯をねだる。
時折口走る「くりるりるーん」という言葉は理解不能だったが、
優太郎のふりまく笑顔を見て、みんなで笑った。
なんだかうちの家も、雰囲気が変わったなぁ。
夜、みんなで鍋を食った後、
親父が優太郎を2階で遊ばせているうちに風呂に入る。
あがってきたら、
嫁がオカンと姉と3人で太極拳の話で盛り上がっていて、
なんというか、ホッとした。
これから長いつきあいだからね。
頭を乾かしながら、
オカンの話に耳を傾ける。
「うちのお父さんはあの通り変わった人でね、
息子へも厳しいことばっかり言いよるねんけど、
結婚式で大学関係の友だちが色々やってくれてるのを見て
『お母さんよ、S史を大学にやって良かったな』って
一人で満足してはったんよ」
相づちをうつ嫁。
笑って茶を入れる姉。
黙って髪を乾かす僕。
と、突然親父が1階へ下りてきて、
「Mくん(=姉の旦那)、S史、
ボブサップと曙の試合が始まるぞ!
男性陣は向こうの部屋に集合や!」
と集合をかけた。
こんなことは初めてだけど、
きっと親父もテンションが上がっているのだろう。
第2部が始まったばかりの紅白歌合戦にさよならを告げ、
しゃーなしに森くんと一緒に隣の部屋に向かう。
PM10:00。
「あれっ? まだ試合始まらへんのぉ。
なんでや? 故障か?」
…いやいや親父、
こういう番組は『この後すぐ!』という字幕だしたまま
1時間ぐらい引っ張るのが普通やねんって。
何度説明しても、
Kー1からチャンネルを動かさない親父。
半分寝そうになりながら、森くんと試合を待つ。
隣の部屋から聞こえる女性陣の笑い声。
なんか変な感じだけど、これはこれで楽しいっか。
PM11:00。
一瞬で終わったボブサップvS曙の試合に肩を落とし、
親父はぶつぶつ言いながら風呂へ。
森くんと僕は紅白歌合戦のテレビの前に移動し、
小さな部屋に再びみんなが集結した。
PM11:50。
ひっそりとした空気に包まれた高野山の寺が映る、
NHK ゆく年くる年の番組。
ああ、今年も色んなことがあったけど
あと数分か…。
そんな感傷にひたっている時、親父がひとこと。
「さ、寝るぞ。」
なんでやねーん、あと数分待ちーや、と
みんなのツッコミがこだまする中、
我が家はめでたく2004年を迎えたのであった。