No.655 風と遊ぶ少年


“砂丘”の上から送るおはなしは初めて。

あてもなく車を走らせていたら、
鳥取砂丘に来ていた。
広大な砂の向こうに、小高い砂の丘。
まるで、地平線と水平線を見ているよう。

砂丘のてっぺんに腰をおろし、
うっとりと海岸線を見おろしていると、
視界の先を小さな小さな「飛行機」が横切った。
軌道の先をずっと目で追うと、
コントローラーを両手に握りしめ、
砂丘の上にちょこんと座ったおじいちゃんが。

青空に浮かぶ飛行機を見上げながら、
風と遊ぶおじいちゃん。
なんだかその姿がとても素敵で、
歩み寄って話をしてみたくなった。

「それってラジコンですか?」

「いやいや、ほとんど手作りの模型で、
操作するのはコレだけだよ(笑)。」

そう言っておじいちゃんがコントローラーを触ると、
帰ってきた機体の尾翼だけが左右に動いた。

「モーターなんかいらんのよ。
風と友達になればね、コイツは勝手に飛びよるからね。」

そう言って、おじいちゃんが飛行機を空に放り出すと、
見事な曲線を描きながら、
七色にペイントされた飛行機が真っ青な空を泳ぎはじめるのだった。