No.3142 サッカー選手を子に持つ親の気持ち
昨日、息子のサッカーの
カップ戦(2年生大会)があった。
実は前日の土曜日も
3年生の試合に出場したんだけど、
なんともやる気の感じられないプレーをしていたので説教。
根性練習の野球部で育った僕は、
試合中に声を出さない、悔しがらないような
プレーをする奴はスポーツマンとして認めない。
息子にとって昨日のカップ戦は、
そんなやり直しの意味も込めた試合だった。
カップ戦に出場していたのは計8チーム。
1ブロック4チームが総当たりで戦った後、
A・Bブロックの王者同士で優勝を決める仕組みだ。
息子のチームの参加メンバーは18名で、
試合に出られるメンバーは7名。
つまり、大半のメンバーがベンチでチャンスを待つことになる。
そんな中、3年生のチームでもプレーしている
うちの息子ともう一人の子だけは
主軸として全試合フル出場させてもらっていて、
なんだか他の保護者の皆さんに悪い気もした。
ブロック予選、FWの息子は
何度もゴールチャンスを迎えながらも、
コースを狙いすぎて決定機を外しまくった。
いや、外したことは別にいいのだ。
100%ゴールを入れろとは言わない。
ただ、前夜の説教もあり、
息子が思いっきりシュートを打たないことに
腹が立っていた。
そんな息子の決定力不足のおかげで
チームは予選ブロックで1位を逃し、
A・Bブロックの2位同士で3位決定戦を行うことに。
その試合も最後までもつれ、
最後はPK戦で勝負を決することになった。
相手がPKを外した後、
決めれば勝利が決まる場面で
キッカーは…うちの息子だった。
「…頼むぞ、ココだけは決めろよ…」
スタンドで他の保護者の皆さんも応援しているし、
ココで外したらきっと
大ブーイングが待っているかもしれない。
嫁と一緒に祈るような気持ちでPKを見守った。
そして緊張の結果。
なんとか息子がそのPKだけは無事決めて
チームは勝利した。
「ふぅ…、ホンマ、心臓に悪いわ。
帰ってきたら、予選でシュートを
思いっきり打ってなかったことを説教したるねん!」
我が息子の不甲斐なさにイライラしつつ、
スタジアムの外で保護者の皆さんと
チームの解散を待っていた時のこと。
見知らぬ若いお父さんに声を掛けられた。
「息子さん、最後のPK、落ち着いてましたね~」
「へ? あぁ、いや、とんでもないです。
すみません、予選で外してばかりで。
帰ってきたらシバいてやろうと思いまして」
「ハハ、自分の子には厳しくなりますよね(笑)。
でも、うまいな~と思いますよ。
うちの子も同じぐらいできたらいいんですが」
「そんな、うちの子はただのヘタレですよ!」
他の親御さんから声を掛けられたのは初めてだったが、
その後も何人かの親から同じようなことを言われて。
正直、申し訳ないような
うれしいような複雑な気分だった。
息子が帰ってきた後、
なんとなく説教する言葉を無くしてしまった僕は、
親御さんとの会話の内容だけを彼に話した。
「お前さぁ、自分が思ってる以上に
多くの人に期待されてるみたいやぞ。
それを忘れずに、もっと気合い入れてプレーせぃ!」
予選でゴールに迫った時、
3位決定戦でPKのキッカーを務めた時、
ベンチにいるチームメイトや
スタンドにいる保護者から
うちの息子の名前を叫ぶ声が聞こえた。
親である僕や嫁以外に
うちの息子に期待し、応援してくれる人がいる。
その瞬間、少しだけ鳥肌が立った。
プロのサッカー選手を子に持つ親の気持ちって
こんな感じなんだろうか?
悪くないね。
容赦なく説教はするけれど、
いつかあんな熱い声援が
国立競技場を埋め尽くす日が来ることを
密かに楽しみにしている。