No.1601 終戦記念日に何を思ふ

小学校のグラウンドに整列して、
スピーカーから流れる音声に耳を傾ける人々。
その時、蝉は鳴いていたんだろうか。
そうだとしたら、どんな声で鳴いていたんだろうか。

8月15日、終戦記念日。
62年前の今日、多くの人はラジオで終戦を知ったという。

ある人は敗戦したことに悔し涙を流し、
ある人は終わったことに安堵の涙を流したというが、
その心中は今の僕たちでは察しきれない。

終戦記念日は、戦後という時代の
始まりの日でもあると誰かが言ってた。

豊かになった今の社会を見ながら、
「おめでとう」と祝うべき日なのか、
悼むべき日なのか、複雑だ。

今日がその日であることを忘れるぐらい、
今の自分が暮らしている世の中は本当に豊かになったと思う。

それでも、毎年こんな暑い夏の日に
命果てるまで鳴き続ける蝉の声が聞こえてくるたび、
何かを僕たちに訴えている気がして仕方ない。

そして今日もまた一匹、また一匹と
蝉がその生涯を終えグラウンドに落ちていく。
木はすべてを知っているようで何も言わず、
ただ静かにその亡骸を日陰にして守る。