No.2725 幻の中、僕らは想像して生きている。

「じゃあね〜」
「また明日ね〜」とか言いながら、
さっきまで目の前にいた人が
自分の視界からいなくなった途端、
その人の存在は幻のように変わる。

いや、たぶんフツーに生きている。
生きているんだろうけど、
自分の目で確認したわけじゃないから、
「たぶん」でしかない。

明日また会える確約なんてないけれど、
僕らは「いつでも会えるさ」なんて思い込んでしまう。

それは一種の「中毒」。
幻を現実だと思いこんでしまった状態。

だから泣くんだろうね。

そのまま二度と会えなくなった時、
薬が切れた患者のように。

どうしても会いたい人がいる時、
「会えないのかな…」という不安と戦いながら、
僕らは頭の中で一生懸命想像をする。

視界にその人はいなくても、
今、どんな場所で、
どんなことをしているのかを。

それは一種の信じる力。
「生きている」
「必ず会える」と思い続ける力。

だから笑うんだろうね。

その人にやっと会えた時、
不安という鎖から解放されたかのように。

今、あなたの視界にいる人は
生きているし、今すぐ会える人だ。
大切にしなきゃいけない。

あなたの視界にいない人は、
何をして、どうなっているかもわからないから、
大切な人なら、ちゃんと想像しよう。

そうすれば、
なくし物が少しは減る気がする。

おばあちゃんの死を通じて、
今さらだけど、それを学んだ。