No.392 伝言ゲーム
〜伝言ゲーム〜
美佳「剛クンに『頼まれてた仕事できた』って伝えておいて。
私 体調悪いから、先に帰るわ。」
男「はいはい。了〜解。」
(数時間後)
剛「あれ、美佳は?」
男「帰ったよ。あ〜、そうそう、伝言頼まれてた。
『できた』ってよ。」
剛「!? できた?」
男「なんか体調悪そうやったで。」
剛「…、うそ…、マジで…」
(数時間後)
剛「オカン、前に紹介した娘おるやんか。」
母「あぁ、美佳ちゃんか?
あんたあの娘と別れたんとちゃうの?」
剛「そうそう。その娘な…、
もしかしたら、できたかもしれへん…。」
母「ホンマかいな?大丈夫なん?」
剛「ケータイつながらへんから分からへん。
どうしよ…。」
(数時間後)
父「ただいま〜」
母「ああお父さん、お帰りなさい。
ちょっと聞いて。剛の前の彼女がな、
脳腫瘍できたらしいねん。」
父「ホンマかいな!
そりゃ、早くお見舞い行ってあげんとアカンがな。
あれは、脳にイチジクみたいなヤツができるらしいぞ。」
プルルル…
父「お母さん、電話やで〜。もぅ、ワシ出るわ。
ハイもしもし…、ああ美佳ちゃん。
久しぶりやね〜。大丈夫なん、体の方は?」
美佳「え、なんでご存じなんですか?
ちょっと熱が出るくらいで、なんとか大丈夫です。」
父「ホンマか、まだ初期症状やな。
これからイチジクができると思うけど、
頑張ってな。辛いとは思うけど。
ほな、剛にかわるね。」
美佳「は、はぁ…」
剛「もしもし、美佳?」
美佳「よく分からんけど、
お父さんって、イチジク栽培してるの?」
剛「え?いや、たぶんしてないと思うけど。
それより…、大丈夫か?」
美佳「え、うん、大丈夫やけど。
なんでそんなに暗い声なん?」
剛「結婚しよう。」
美佳「え?」
剛「幸せにする。」
美佳「はぁ、はい。」
この世は、
間違いだらけの伝言ゲームの繰り返し。