No.3548 娘の道に迷う父

娘は、「絵」がうまい。

モノや人、景色をよく観察して、
細部まで表現できる。
色使いも巧みで美しい。

娘は、「踊り」が得意だ。

E-Girlsや恋ダンスなんてお手のもの。
テレビでダンサーの踊りを観ながら
鏡映しにならないように
ちゃんと頭で左右逆に変換してから真似ている。

娘は、「泳ぎ」がすごい。

負けたくない、テストに落ちたくない一心で
プールでも風呂場でも練習し、
あれよあれよという間に10級連続一発合格。
小1のくせに、いつのまにか今は
バタフライ30mを練習している。

娘は、「語彙」が豊富だ。

幼稚園の頃から兄の教科書を読んでいたせいか、
音読みも訓読みもきちんと使い分け、
気持ちや事象を的確な言葉で表現する。
妹が兄に言葉を教える光景にも慣れてきた。

娘は、「ゲーム」が強い。

マリオカートでは新記録連発、
何をやらせても勝つまで練習するから
絶対に負けない。

娘は、「音感」に優れている。

僕にはさっぱりわからない音楽でも、
数回聴けばドレミで歌える。
しかもそれを鍵盤で弾ける。
 

娘は、「勉強」が好きだ。

学校の宿題だけでは満足できず、
毎月来るベネッセの教材も
到着したら1日2日で終わらせて、
何なら兄の宿題を解いている。
  
 
父である僕から見れば、
息子は運動神経だけの男だから
サッカーという進路を決めるのに時間はかからなかった。

それだけに、
多才な娘がうれしくもあり、悩ましくもある。

どの才能を伸ばしてやるべきか、
そのためにどんな環境を用意してやるべきか、
あまりに多すぎて、何か1つを選べば
別の可能性を消してしまいそうで。

「選択肢は親が用意し、決定は子ども自身がする」
というのが我が家の教育方針。
どれを選ぼうが娘の人生、とは思うけれど…。
  

 
娘は、「ツンデレ」だ。

「ただいま」と言って帰ったら
「はやすぎる!」と叱られることもあるし、
そうかと思えば子猫のように
膝の上で甘えてくることもある。

娘は、「泣き虫」だ。

何かで兄に勝てなかったら、
トトロのメイちゃんばりの大声で泣く。
お母さんに怒られた時はさらに大きな声で泣く。

まだ7歳、もう7歳。
長所もあれば短所もある。
これからどんな大人になるのかは分からない。

それでも、
娘は、「僕の娘」だ。
幸せになる可能性を信じている。