No.4068 実家がなくなった日
先日、地元にいるシュークリームさんから
LINEで1枚の写真が届いた。
しばらく帰省していない僕にとって、
それはなかなか衝撃的な写真だった。
「え〜!? マジかよ…」
そこに写っていたのは、
両親が今の家に引っ越すまで住んでいた、
つまりは元々僕の実家だった場所。
写真には、
場所はあれども家の形はなく、
きれいな“更地”になっていた。
なんて言うのかな~、
「すべて終わった」って感じ?
僕が社会人になって数年、
幼少期から青春時代までの思い出が詰まった家を
引っ越すことになった時にも
ポッカリと心に穴が空いたけれど、
家は残して他人に貸していたから
たまに前を通って思い出に浸ることもできた。
でも、家さえも無くなってしまった今、
「あぁ、本当に終わったんだな…」って。
昨年ぐらいに、親からは聞いていた。
「もう、あの家売るで」と。
そもそも僕に拒否権はなかった。
親としては、僕が家族を連れて
地元で暮らすことをイメージして
ずっと家を残していたんだと思うけど、
僕はもう、すっかり大阪人になってしまった。
この先沖縄に行くことはあっても
地元に帰る選択肢が1%もない時点で、
「懐かしみたいから家だけ残しておいてくれ」などと
言えるはずもない。
僕は送ってもらった写真とともに、現実を受け入れた。
僕の生まれ育った家は、
もう、完全になくなったのだ。
思えば、18歳で大阪へ旅立つまで
たかだか12年ぐらいしか住んでいない家である。
それでも、今ではもう二度と蘇ることのない
家族4人で暮らした数々の時間は
なかなか濃いものだったなぁと思う。
元の実家がなくなったことで、
もう二度と子どもの自分には戻れなくなった。
戻ることができるスタートラインは、
ある程度大人になってからの自分だけ。
退路を絶つというか、
大人を受け入れるというか、
そろそろそういう時期が来たんだろうな。
甘えを捨てて、大人として頑張るか。
自分の過去に逃避するのではなく、
世帯主になった僕には
子どもの代に思い出を残してやる義務がある。
今の家、いつか子どもたちが
帰りたくなるような家にしよう。
なんとなく、そう思った。