No.5094 牡蠣はキライなままで

年齢のせいなのか、
ここ数年、少し舌(味覚)が変わってきた気がする。
 
あれだけミルクティーばかり飲んでいた僕も、
今のマイボトルの中身は珈琲だ。
 
まぁ、珈琲と言っても「牛乳屋さんの珈琲」だから、
ほとんどカフェオレみたいなものだけど、
少しだけ苦みが美味く感じるようにもなった。
 
 
あとは、野菜ね。
 
若い頃はあれだけオカンからしつこく
「ちゃんと野菜食いや~!」と言われても、
肉ばかり食っていたのに、
今は鍋でも焼き肉でも進んで野菜を食べる。
 
「あれ?ネギってこんなに美味かったっけ?」
「白菜、ジューシーやなぁ~」
「しいたけ、最高やがな!」と、驚くことばかりだ。
 
年齢とともに舌が変わるとは聞いていたけど、
いやいや、本当だな。
 
 
ほとんど偏食のない僕が
この世で唯一食べられないのが「牡蠣」であることは、
もはやsunny-yellow内では有名な話。
 
卒業旅行でニューオリンズを訪れた時も、
テントショップボーイさんやローリングズコーンズさんが
名産の牡蠣を大量にほおばる隣で、
僕だけピザを食べていた。
 
そんな僕だけど、
もしかして今なら…、行けるか?
 
そう思い、この間
ランチスタメンの料理屋で
「牡蠣の入った寄せ鍋」が出てきた時、
思い切って口に放り込んでみた。
 
 
 
 「うっ…、美味くはないけど、まぁ、貝だな」
 
 
 
この実験が、僕にとってどれだけ
勇気のいるものだったかはわかるまい。
 
これまで何十年も口に入れて来なかったものを
思い切って口に入れたわけだから、
例えるなら「う○こ味のカレー」を食したような感覚だ。
 
結果的に「まぁ、カレーだな」とは思えたことは、
人類が初めて月面着陸した時ぐらいの進歩だと思う。
 
 
このまま舌が変化して、いつか僕が
牡蠣を美味しく食べられる日は
やって来るんだろうか?
 
もしも牡蠣を克服してしまったら、
ついにコンプリート。
この世で嫌いな食べ物がなくなってしまうのか。
 
それはそれで長年のライバルがいなくなるような
一抹の寂しさもあるな。
 
張り合いをなくさないためにも、
やっぱりこれからもずっと
牡蠣は食べずに行こうと思う。
 
死ぬ時に
「アイツはなんでも食べる奴だったな」と追悼されるより、
「彼は牡蠣との戦いに一生を捧げてこの世を去った」
と言われる方が絶対にカッコいい。
 
すまんな牡蠣よ。
 
勝手に捕食されただけのお前に
罪はないのかもしれないけど、
これからもバチバチの関係でよろしく。