No.2248 さよなら、たこフェリー

明石と淡路島を結ぶ、定期船。
「たこフェリー」の航行が休止になった。

6歳頃まで明石で育った僕としては、
なんとも寂しいニュースだった。

昔は特に「たこフェリー」と呼ばず、
地元では「フェリー」といえば
淡路島へ行く船のことだったのだ。

ただ、明石海峡大橋ができ、
車で淡路島に行けるようになってからは、
利用者も減っていると聞いていた。

何かが生まれ、何かが淘汰される。

時代の流れと言えばそれまでなんだけど、
船に乗る楽しみがどんどん無くなっていくのは寂しいなぁ。

子供の頃の僕にとって、
海の向こうに見える淡路島は
近くて遠い、憧れのリゾート島だった。

泳いで行けそうなぐらいそばに見えてるんだけど、
泳いでは行けないし、山陽電車でも行けない。

そこに連れて行ってくれるフェリーに乗る時は、
ハワイ行きの飛行機のような興奮があった。
船の上から段々と近づいてくる島を眺めていると、
胸がワクワクがしたものだ。

もちろん、淡路島に行けなくなったわけじゃない。
むしろ、昔よりもずっと早く行けるようになったし(橋を渡って3分?)。

でも、旅はプロセス。
時間がかかるからこそ高まる何かがある。

1998年、明石海峡大橋の誕生は、
僕の中で淡路島が近くて遠い憧れの島ではなく、
近くて近い生活圏の一部になってしまった瞬間だった。

以後、行き場を失ったその気持ちが
沖縄の島へ向かったことは言うまでもない。