No.1895 シンデレラが靴を落としていなかったら
僕が男だからか、
例えば「シンデレラ姫」の話を聞いても
王子様の目線で話をとらえてしまう。
午前0時を過ぎ、城中でガラスの靴を拾った王子は
その夜、一人で何を思ったのだろうか。
テレビで深夜番組を見ながら
高笑いをしていたとは考えにくい。
きっと、何度も姫の後ろ姿を思い出しながら、
暗闇の中で胸を焦がしていたことだろう。
王子の偉いところは、翌日すぐに
姫を捜すために行動したところだ。
足がむくんで大きくなる夜に履いていたガラスの靴が
なぜ翌日の昼間にフィットしたかは置いておくとして、
靴という動かぬ証拠を持って行動したところは
かなりクレバーだ。
でも、たとえばの話、
シンデレラがガラスの靴を落としていかなかったら、
話はどうなっていたのだろうか?
王子は記憶だけを頼りに捜したのか?
おそらくその場合、
王子は自らの思いを詩(歌)にしたと思う。
二人にしか分からない言葉を織りまぜて。
1対1で話した会話の内容は、
時として二人共通の“鍵”になる。
その鍵をたくさん共有している二人ほど、
絆は強いものだ。
「シンデレラ姫の第二弾を書いてくれ」と頼まれたら、
僕はこんな教訓を残す話に仕上げるだろう。
お子様には、
なかなか理解してもらえないかもしれないけど。