No.2616&2618 暴動が起きる最中、中国へ旅行に出かけた両親

●今日のおはなし No.2616●
 
尖閣諸島の問題からか、
中国で日本人がよく襲われている。
 
そんな時に、うちの親が
明日から中国へ旅行に行くらしい。
 
おばあちゃんの看病や死後の後始末もあり、
うちの親もここ数年は
なかなか余裕がなかったから、
自分たちへのご褒美に予約した旅行に
ぜひ行かせてやりたい気持ちはある。
 
ただ、まぁ、普通に心配はするわね。
 
一応、オカンに「やめといたら?」とメールをしたら、
「ありがとう。でも、やっぱり行くわ」と返事が来た。
 
その数分後、今度は親父からメールが来て、
「心配させてすまん。13億人の一部が騒いどるだけやから、
 何かあっても宝くじが当たるぐらいの確率や」と。
  
親父が言いそうなことだな、と思って
そのメールを眺めていたけれど、
今までにない言葉が文末にあった。
 
 
 
 「おかあさんも楽しみにしとるしな」
 
 
 
自分の親の介護でオカンに苦労させたことを
どこかで申し訳なく思っているんだろう。
 
基本的に
親が決めたことに口出しはしない主義だから、
無事を祈って送りだそうと思った。
 
ちなみに、旅行代金は
3泊4日(宿泊・交通・食事込み JTB)で
3万円程度らしい。
これにはさすがに驚いた。
 
僕が来週行く愛媛でも、
航空チケット代だけで3万円以上したのに。
飯や宿までついてその価格とは…。
 
現在、台風が接近中。
親が乗る中国行きの飛行機も
僕が乗る松山空港行きの飛行機も、
どちらもちゃんと飛んでくれることを祈る。
 
 
 
●今日のおはなし No.2618●
 
昨日、愛媛からクタクタになって家に帰り、
疲れを癒すために風呂に直行。
 
風呂から上がり、
ぼーっとしていた時だった。
珍しく自宅の電話が鳴ったのは。
 
おかしな番号が表示されたので
一旦居留守にしたんだけど、
電話の向こうから聞き覚えのある声。
 
慌てて受話器を上げると、
中国に行っている親父からだった。
 
 
 
 「おぉ、心配させてすまんな。
  電話のかけ方がわからんかってん」
 
 
 
   「そうか、無事なんかいな?
    日本では連日すごい報道されてるで。
    さっきのニュースでも、
    関空から帰ってきた人がインタビューされてたわ」
 
 
 
 「テレビも騒いどるんか?
  明日帰るから、マスコミに
  『インタビューしてくれ』と言うておいてくれ。ほな」
 
 
 
それはそれは、心配したことが
アホらしくなるぐらい明るい声だった。
 
誰もが心配する時期に
呑気に旅行に行ってしまう親も非常識だとは思うが、
まぁ、とりあえず無事ならそれでいい。
 
ただ、無事に帰ったら帰ったで、
帰国後に「あの暴動の中、ワシは平気やった」と
親父の武勇伝が止まらなさそうだ。
 
う〜ん、悩ましいが、平和な悩みだ。