No.893 都会だって美しい

川沿いに立ち並ぶ大阪の高層ビルを横目に、
一人、車を走らせる。

変だなぁ、
決して癒やされるような光景じゃないのに、
なんなんだろう。
この瞬間を止めてしまいたくなる衝動は。
思わず車を止めてシートを倒す。

現実の中の非現実。
答えはそれか、否か。
僕はギャップを楽しんでいるだけなのかもしれないし、
そうでないのかもしれない。

ただ一つ言えることは、
まばらに四角い明かりが並んだビルは
ここから見てると美しい。

田舎が善人で都会が悪人の説には異論がある。
都会にも美はあるさ。
人の手で創られた、芸術品が、たくさん。

いつも踏みしめるアスファルトも、
急いで飛び乗るエスカレーターも、
うたた寝が気持ちいい電車も、
そこには誰かの汗があり、
知恵があり、想いがある。

それを見逃すことなかれ。
僕たちの住む世界は、
神が創った産物ではないのだ。

素敵やん!